2009年1月18日日曜日

家事という孤独な作業

ここ数日、妻が風邪で寝ているので料理など家事を多少やっている。合間に、最近ネットで喧しい「家事と仕事の分担」に関する以下の記事を読みながら、思ったことがある。

男女平等を家庭に持ちこむのはやめにしないか
家事と「グーグルの検索」が似てる件
共働き夫婦が支え合うべきこと

自分の仕事は、ある研究機関の研究者で、会議、申請書・論文等の文書作業、調査、報告・連絡・相談、実験準備、実験、プログラミング、などが主な内容である。これと家事、例えば料理の準備、料理、後片付け、洗濯、洗濯物を干して取り込み、しまう、掃除、片付けなどを比較する。

すると私にとって、面倒はどっちも同じで、楽しみも同じようにどちらにもある。ただ決定的な違いは、仕事をやっている間、まわりの同僚も仕事をしていて、仕事の多くは協力し合ってやっているという点だ。

家事、特に現代の「核家族」での家事は、極めて孤独な作業である。家事をしている間、自分以外の家族は働かずテレビを見ていたり、遊んでいたりするし、協力作業は多くなく、職場でのように協力作業が前提、という状況にはない。

これは、かつて受験勉強をした時に思ったのと似ている。私を含め、多くの学生は、周囲の学生が勉強していると、自分も勉強するのがそう辛くないのだが、まわりが遊びほうけていると、その中で勉強するのは恐ろしく辛い。

核家族は、高度経済成長を支えるために社会的に作り出された、新しいモデルだ。家族を、企業を支えるモジュラーな部品とする、ずいぶんと人工的な仕組みである。かつて、その人工的なシステムを支えていた、企業内福祉や経済支援は、近年あっさりと消え去ってしまい、核家族という特殊な形態がもたらす問題が、ただ残されている。

家事を、これほどまでに孤独な作業としてしまったのも同じ根に基づく。あまり甘く見ない方がいい。孤独は人を食いつぶす。

ワークライフバランスという新しいモデルから得られる一つの解決法は、主婦/主夫でない人は、仕事の量を減らして、家事に振り向け、具体的に家事のワークシェアはできなくとも、少なくとも共同作業にするよう努力することだ。例えば、作業の邪魔になっているものを片付ける。洗い終わった皿を一部でも良いので食器棚にしまう。そういった小さな協力が、彼女/彼の目に触れた時に与える、孤独を和らげる効果は大きい。

4 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

引用されたサイトをちらちらと覗いてきました。まっとうで節度ある論旨ですね。

堤さんが書いてた「孤独」に関連して。
ワタシが仕事をやめて専業主婦になった時、初めて気がついたのは家事には「評価がない」こと。
たいていの「仕事」(有償無償問わず)には、目標があり、プロセスを吟味し、結果を出すことが求められる。そしてそれに対しては、カタチはどうあれ「評価」が下される。

掃除・洗濯・炊事。
まあ、食事については「皆のハシが進まずおかずが残った」というネガティブ評価や、「おいしい!」というホメがあったりしますがね。
目標もクリア基準も自分で設定するしかなく、すべて「自己満足」なんで、なんだかなあです。

家事分担の話。
井戸端会議で、「ウチの亭主は、ワタシが体調悪くてもなんにもしない」と愚痴る嫁ハンがいます。
そんな男を伴侶にしたのはアンタじゃん。結婚前のチェックが甘かったんじゃね?そういう種類の不満は、きちんと話しあえよ。
って思うけど、角が立つので申しません。

この手の話は、キリがないので、このへんで。
今NHKスペシャルでやってる「女と男」は面白いっす。

fewzio さんのコメント...

「評価」ってのもあるね。この記事にも、「ありがとうの重み」ってのを付け加えるか迷った。職場でも評価っていうか、「認知」はとても重要だ。「よし」「OK」「やってるね」、そして同じく「ありがとう」の一言が。

本当に「評価」が必要かどうかは、人のタイプによると、私は思う。

NHKスペシャル? おぉ、22日に第三回の再放送があるようですね。忘れずに見てみよう。

匿名 さんのコメント...

いまさらなんですが、あと一言。

最近、ポスティングされていた、主婦向けのタブロイド版フリーペーパー。
特集は、「主婦休みが欲しい」。

そうなんだよな、主婦は、「職住」がおんなじ場所ってのもポイントなんですよね。
起きてから寝るまで、すべて就業時間です。

中高年女性が、旅行に行ったり、ランチを楽しんだりするのは、いわば「休憩時間」なんですな。

fewzio さんのコメント...

起きてから寝るまでが就業時間か。たしかに。切り替えのタイミングが欲しいですね。研究所でも独身寮などで職場とほぼ同じ場所に住んでいる人は,切れ目がなくなってしまうようです。彼らは意識してONとOFFを切り替える必要があるらしい。

主婦/夫のOFFは,サボタージュと思われかねないのがネックですね。宣言する,というのもありかも。