2008年5月6日火曜日

渋谷マイナーミュージアム巡り

連休最終日、見事な雨上がり五月晴れ、渋谷に妻と出かけて、マイナーなミュージアムを巡りました。

最初は、京王井の頭線の神泉駅から歩いてすぐの松濤美術館です。

『中西夏之新作展 絵画の鎖・光の森』というのをやっていました。一度行ってみたかったんですよね。独特な外観の建物です。入館料は300円と区立らしい安さ。B1と2Fが小振りの展示会場になっています。中西夏之の、抽象的もしくはデザイン的な油絵とドローイングでした。紫陽花のような、空から流氷を撮影したかのような、散って、動いて、まとまって行く動きが感じられる絵でした。色もストイックで、白を基調に、紫と黄色が少しだけです。なかなか気持ちいい。





そこから、途中、鍋島松濤公園で亀の甲羅干しを見て、すぐ近くにあるのが、戸栗美術館、陶磁器専門の美術館です。

今回は、初期伊万里の展示がなされていました。ここは財団法人で、入館料1000円です。初期伊万里というのは1610〜1650年ごろの色絵が始まるまでの最初期の伊万里焼です。まだ技術的に完成されておらず、色がまだらだったり、形が歪だったり、模様もざっくりとした磁器ですが、なかなか味があって、子どもの頃から見て来たカラフルな伊万里焼に、多少うんざりしている佐賀生まれの私には、こっちがましだとすら感じました。妻は、色絵直前の赤茶色系のものが好きだと言っていました。




そこからBunkamuraまで降りて、スペイン坂を登って、途中昼ご飯を食べ、最後に向かったのが、たばこと塩の博物館です。チミーの会社の施設ですね。入館料はなんと100円です。

『西アジア遊牧民の染織』という民族色豊かな織物が展示されていました。そんなに古くなく19世紀中盤から20世紀後半ごろまでに作られた織物です。塩袋、小物袋、敷物など。合成染料ではない滋味深い色合いがいいですね。手織りの歪んだ感じも、作り手の個性が感じられて楽しいものです。

この博物館の3Fは塩に関する常設展で、2Fと1Fはたばこに関する常設展があって、いずれもなかなか見応えがありました。専売公社になる前の方が、デザインなど味があるなぁとは妻の言葉、やっぱ国営にすると多様性が失われてしまうんですね。

いつもは埃っぽくて人だらけで、あまり足を向けたくない渋谷ですが、今日は気持ちの良い風が吹いていいミュージアム巡りでした。




(地図)

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

記事拝読しました。画像がみられるのは楽しいですね。たばこと塩の博物館は、私が最後に立ち寄ったのはもう何年前かなぁ……でもやっぱり入館料は100円だったように思います。

松濤を歩かれたなら、実はNHKの向かいあたりからちょっとはいったところにいい本屋があったんですが……。
(今日、松濤スタジオで取材してたのですが、帰りがけに歩いて発見)

SHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERS
渋谷パブリッシング&ブックセラーズ
http://www.shibuyabooks.net/
という本屋で、書店と出版社が合体したもので、おもしろい試みをいっぱいやりはじめたところのようです。

まず、建築が目をひきます。道路側は横長の一面のガラスの開口部で、看板もなにもでていません。
で、センターには、奥までズラッとテーブルが並んでいて、ちょっとアホなカラスだったら突進してしまいそうな、中央部にガラスの仕切りがあり、そこから先は出版社の事務所になっています。
店内は基本的に白で、左右の壁の本棚に、年代別にアート系、サブカル系、ちょっと異端とか個性派系の本が、新刊・古書一緒に並べられています。
この本棚のデザインも微妙に異なり、聞いたら、その、年代に作られた本棚なんだとか。
全体に好き系な本がたくさんあって
けっこう迷ったあげく、吾妻ひでおの『ミニティー夜夢』昭和59年12月30日初版 秋田書店 1000円
リチャード・マシスン『不思議の森のアリス』論創社 2000円 購入。
本屋部分は今年1月?3月?にはじめたばかりだそうで、出版したのはまだ2冊。

若木信吾が撮り降ろした、俳優浅野忠信の写真集と、4月30日に篠原一の復刊本『壊音 KAI- ON/症例イデム SPBS SPECIAL VERSION』が出たばかり。なので、まだ目録もないのだとか。

いい本屋でした。ちょっとうれしい。
●関連記事
http://www.esquire.co.jp/esquire/2008/04/navigator.html

などと、長々書いてしまいましたが、
こういうのはコメントはいわないですかね。

fewzio さんのコメント...

おぉ、面白そうな本屋ですね。紹介ありがとうございます。参考のWebページを読んで、本屋と出版社がガラス一枚挟んで隣にある、という発想に共感しました。行ってみたいな。

渋谷は若者優先の疲れる街だという印象だったんですが、上手に利用すれば、いろいろ楽しめるんですね。少し得した気分です。