2009年5月17日日曜日

CHILDREN OF MEN

トゥモロー・ワールド (CHILDREN OF MEN) を見た。近未来SFだ。今まで見たことの無い臨場感の映画だった。テイストも好みで、好きなSF映画が一つ増えた。

深みが無いとか、原作からほど通り仕上がりとか、文句の多い映画だったので敬遠していたが、そういうことを目指した映画ではないのだね。

出生率が0%となった2027年の世界を描く。舞台はイギリス。

説明が省略された映画なので、慣れない人には難解かもしれないが、設定は単純で、ストーリーもシンプル、登場人物も難しいことは考えないので、わかりやすい映画だと思う。下手をするとタルコフスキーの焼き直しみたいなものになりかねないが、この映画では、哲学的、詩的、または感傷的な要素は極力排除されている。

その世界を描くのに莫大な予算と、膨大な労力・創作を投入した映画だ。最新テクノロジーを使った長回しが印象的で、自分も一緒に逃避行しているような、居心地の悪さを感じる。終盤の戦闘シーンは6分以上もカットが無い。

この、徹底して世界を描く、という監督の拘りが気に入った。

またロック音楽へのオマージュが鏤められているのも、マニア好みで好きだ。主人公が訪れる政府の建物が、ピンクフロイドのアルバムジャケットにある発電所で、ピンクのブタがふらふらしていたのには唖然とした。

P.D.ジェイムズの原作は、また全然別の傑作らしいので読んでみたいと思う。

0 件のコメント: