2010年3月1日月曜日

新鮮さを失ったインタラクション

今日、インタラクション2010に参加した。コンピュータのユーザインタフェースに関する発表会だ。これまでに何度も参加したのだが、このところ新鮮味がかなり失われている。主たる原因は、私自身が単に年寄りになった、ということだと思う。ただ、この分野自体がエネルギーを失っているのだとも思う。これほどの参加者・発表者を集めながら、それでエネルギーを失っている、というのは随分な言い草だとは思う。分野として成熟した、という言い方もできる。

今日、論文賞を受賞した若い研究者が、やりたいことがたくさんあってワクワクしている、と感想を述べていた。それを聞いて、彼らにはまだフロンティアが見えているのだと、それが新鮮に感じた。あの会場に集まった大勢の若い研究者たちは、新しい世界を切り開こうとワクワクしているのだ。その熱気は伝わった。

ツールがそろってきて、作られたシステムの仕上がりが上等である。ハードウェアあり、ソフトウェアあり、芸術系あり、生活系あり。その分野の広がりと、見栄えの良さ。見事だと思う。私が熱心にやっていた10年前からすると、彼らの方がずっと上等で、雲泥の出来だと思う。

それでも今日、私自身はほとんどワクワクできなかった。寂しい感じを抱きながら、会場を後にした。

私自身の関心が、コンピュータというよりは、人間に移っているのが大きい。人間の奥深さ、面白さ。それと自然現象の奥深さにも強い関心がある。人間と自然現象、この二つへの洞察が感じられる発表がほとんど無い。それは無いものねだりなのだから、インタラクション2010に求めてはいけないのだろうか。どうしても玩具に見える。それはそれで良いのだけれど、狭い箱庭の世界に閉じている感じがする。

キャンパスを出て、商店街や、山や海に出向いたらどうだろう。自動車や自転車など乗り物と一体になったり。スポーツ、トレイルランニングとか、散歩とか。武道とか。そういう人間や自然の奥深さに出会える場所で、コンピュータを生かすことを真剣に考えるのが良いように思う。

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