2009年2月18日水曜日

ミスとともに生きる

帰り道に電車を乗り間違えて、自宅とは別の路線に行ってしまった、という話を後輩がしていた。

場所は新百合ケ丘、ここからは小田急の支線である多摩線が出ている。以前の多摩線は本数の少ないローカルな支線だったのだが、小田急が多摩丘陵を開発して一大ベッドタウンにして、さらに多摩急行という新しい種別を導入して、都心へ直接行き来できるようにした。

そのため、以前はまったく別のホームに移動しないと、多摩線には乗れなかったのだが、今は新宿からの本線に、普通に多摩方面行きの電車が入ってくる。後輩の家は、小田原方面に下った所にあるので、この多摩急行に乗ってはいけないのに、乗ってしまったということだ。

彼曰く、彼以外にも数人のご婦人が間違っていて、多摩線の最初の駅で逆方向のホームに移動していたとのことだった。けっこう頻繁に発生しているミスだろう。

人間は何故ミスをするのだろう。

その時のことを聞いたが、特にいつもと変わらない、ただ他のことを考えていて、うっかり乗ってしまったのだそうだ。うっかりとは何か。彼はほぼ毎日同じ場所で、同じ電車に乗っているのに、その日に限ってうっかりしたのは何故か。

そもそも急行、多摩急行、快速急行、準急、区間準急、各停とやたらに種類が多いのが間違いのもとなのだが。まぁ、それはおいといて、今日の話題は人間の方だ。

私は、住んでいる集合住宅に帰って来て、エレベーターに乗り込んで、思わず5Fのボタンを押したことがある。我が家は4Fだ。

これは私の職場がビルの5Fにあって、エレベーターに乗ったら5Fのボタンを押すように自動化されてしまっていたためだ。しかし普通ならシチュエーションを区別して、4Fのボタンをちゃんと押す。ところが、間違うことがある。

なぜ、その時に限って間違ったのか。

この時も特段焦っていたとか、体調が悪かったとかいうことはない。何か頭が別のことにとらわれていて、体の隅々まで注意が行き渡っていなかった。

土曜日に妻とイタリア料理屋に行った。食事と一緒にコーヒーを注文した。その時、ウェイトレスから、「コーヒーはいつお持ちしますか?」と聞かれて、私は、とても不安な気持ちをかかえながら、「食事の後で」と答えた。なぜ不安な気持ちになったかというと、食事の後に飲み物を頼むと忘れられることが多いからだ。だから普通は後から飲みたい時でも、一緒にとお願いする。しかしその日は客数も少なく、料理数も少なかったので、今日は大丈夫だろうと思って、後にした。

案の定、忘れられた。

先日ヒューマンファクターの専門家から、人間は1000回に3回ぐらいの割合でミスをする、と聞いた。これは特に焦っているとか、眠たいとか、腹が痛いとかではなく、普通の状態でも、その程度はミスをするのだそうだ。もちろんコンディションが悪ければ頻度が増す。ただし、ミスをゼロにするのはできない。

おとといのAmazonの配送ミスは、CDに最初にラベルを貼った人のミスであった。Amazonの在庫管理用のラベルシールが、違うCDに貼られていた。すべての在庫管理、配送処理はこの管理用ラベルシールで行われるので、最初にラベルを貼り間違えるとどうしようもない。ラベルを貼るのは人間だから、そこではミスが発生する。ただAmazonのすごいのは、そのミスの発生確率をとても小さく、1000回に3回ではなく、もっとうんと少なくしている点だ。うまくダブルチェック、トリプルチェックをかけているのだろうか。

別のことに気を取られていた。ちょっとぼーっとしていた。てっきりそうだと思い込んでいた。確認を十分にやっていなかった。色々な言い訳が後からできるけれど、何か本質をつかまえていないように思う。

人間はミスをするのがあたりまえの動物だ。これら言い訳は後付けにすぎない。たまたま露見したから言い訳をしているだけで、もっと頻繁にミスは、少なくとも3/1000程度はやっている。トラブルの形に現れないから、記憶に残らないだけだ。

さて、どうするのが良いのだろう。

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